UKベース~ジューク/フットワークを軸にハードコアでヒプノティックなダンスミュージックを世界に向けて発信し続ける重要レーベルHyperdubの首領。
2014年にはレーベル設立10周年を迎え、ここ日本でもワールドツアーのオープニング&クロージングパーティーを行い、大盛況で幕を閉じた。その一方、同年The SpaceapeとDJ Rashadという2人の盟友を失った。その後ソロ名義では初となるフルアルバム「Nothing」をリリース。それは友の死によって掲げられた「無」というシリアスなテーマのもと、グライム、初期ダブステップ、そして近年傾倒するシカゴのフットワークなど自身のキャリアの変遷を土台に、ホラー映画のサントラからゲーム音楽までも飲み込んで構築されたミュータント・ベースの未来を示唆する渾身の一枚に仕上がった。一刻も早くフロアで浴びたいミッドナイト・バンガー、ポップなフックが際立つフューチャーリスティックでモダンなハウストラック、そしてThe Spaceapeへの追悼曲や物議を醸しだしそうなアルバムのコンセプトを体現する終曲まで、緻密に練られたその構成はダンスフロアのみならずヴィジュアル・インスタレーションにまで接続可能な、まさに現代が求める「アルバム・フォーマット」というアート・フォームにおけるひとつの解答を導き出す傑作となった。