フランス出身、現在ベルリンを拠点としているKangding RayことDavid Letellier。以前はロック/ポップス/ジャズといった様々なジャンルのバンドに所属し、ギタリスト/ドラマーとして活動していたが、やがてエレクトロニックミュージックに傾倒するようになった。
彼の音楽には、「デジタリティ」と「センシティビティ」が共存している。メロディをマシーンサウンドとを複合させることで、繊細かつリズム感のあるハーモニーを生み出すのが彼の作曲の特長だ。ギターループやベースライン、残像のようなノイズ、アコースティックな楽器音、デジタルで変則的なマテリアルなど、実に様々なサウンドをバランス良く織り合わせ、独特な風合いのサウンドスケープを創造していく。こうした幅広い音を取り入れようとする姿勢は、彼の楽曲のゆるやかな進化と、それを実現させている、ビートと感性を融合する彼特有の手法によく表れている。
そんな彼のライヴには、音楽的実験性が凝縮されている。声をサンプリングしながら、アナログ機材やラップトップ、MIDIパッド、ギターなど多種多様な楽器の音を重ね合わせていく。楽器奏者をゲストとしてステージ上に招くこともしばしばある。即興性の高い彼のパフォーマンスは、見逃し厳禁である。